肩書きにはこだわらない方がいいとして、収入そのものは人材価値なのだろうか。人材の価値は、使う側から見て、その人物にどれだけの貢献が期待できるかで決まる。従って、今いくらもらっているかは、基本的には関係ないというのが、一つの答えだ。しかし、雇う側は、採用しようとする人材に対して、完全な情報を持っていない場合が大半だ。どのくらいの価値があるか、ということを判断するための目処として、現在いくらもらっているかという数字を参考にするのは、むしろ当然だろう。
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また、現実に人を雇おうとする場合には、その人物が現在もらっている収入と同額以上の金額をオファーすることが普通だ。行動経済学の有名な研究によると、人間には、自分が比較対照用に意識している点(金額)から、改善する場合の喜びよりも、悪化する場合の落胆の方が大きい(二倍から、三倍大きい)傾向がある。従って、たとえば、現在一〇〇〇万円もらっている人物を、何とかして九〇〇万円に値切ろうとするのは、使う側としても賢くない。最低一〇〇〇万円、できれば、一一〇〇万円というくらいに、「誠意」を見せる方がモチベーション管理のうえで上策になることが多い。