ごみの最終処分場の立地により、地下水の汚染、ごみを搬入する車両の障害、悪臭や衛生害虫の発生などが問題になり、二十世紀の終わりごろから全国各地で地元の住民と紛争が起こっている。これらの紛争は、現在も地方自治体と地元住民が裁判で係争中のものもあり、二十一世紀へ持ち越される日本の大きなごみ問題である。大量に発生するごみの一部は、心ない国民の手で国内の随所へ「ポイ捨てごみ」として投棄されている。今、日本のどこの町でも、街路にはたばこの吸い殻や空き缶、空きペットボトル、空き箱やポリ袋が散乱し、街角には収集されるごみの袋が山のように積まれ、山間の谷間には使えなくなった自動車や二輪車から冷蔵庫、テレビなどの家庭電気製品が不法に捨てられており、道路に面した田畑にも空き缶が投げ捨てられている。また、湖岸や海浜には投棄されたペットボトルや廃プラスチック容器が列を作っており、河川敷ではポイ捨てごみの他にポリ袋に入った生ごみまで捨てられている。これが、近代化を急ぎ、豊かさを追求してたどり着いた、日本の二十世紀の余りにもみじめな帰結である。東京都新宿区をけじめとして、全国の多くの市町村が『ポイ捨て防止条例』や『環境美化条例』を制定して、懸命に管内のポイ捨てごみや、不法な投棄ごみの防止に対処しており、罰金などの罰則を設けて市民に訴えてはいるが、ポイ捨てごみは一向に減る傾向がみられない。ポイ捨てごみは、まさに日本の二十世紀の落とし子である。かつて、山紫水明とたとえられた、日本の山や川、湖、白砂青松とたとえられた日本の美しい海岸線は、どこへ行ってしまったのであろうか。そして、清潔好きで、公益秩序を重んじた日本人の心は、どこへ飛んでしまったのだろうか。