「ミニ・クラッシュ」か?「大クラッシュ」か?

2011-07-07

市場規模は徐々に拡大します。価格が上昇傾向にあるときは、おおむね、これに類することが起こっている、と言ってもよいでしょう。マーケット(外国為替市場)の規模が拡大する場合には、価格は上下動を繰り返しながら、ゆるやかに上昇しますが、その理由は、このあたりにもある、と考えています。つまり、大口の参加者は、なるべくマーケットに影響を与えないように、静かに参入してくる、ということです。マーケットの規模が拡大し、市場価格(市場レート)が堅調な値動きを見せると、新たな市場参加者の参入意欲を刺激して、小口の市場参加者は増加の一途をたどります。こういった連鎖は、別の新たな大口の参加者を呼び込みます。マーケットが拡大して、市場規模が大きくなっている場合には、無数の小口の市場参加者と、ひとにぎりの、巨額の資金を持つ大口の市場参加者が混在しています。小口の市場参加者の取引は、市場規模が拡大していますから、ますます、その影響力は小さくなっていきます。一方、巨額の資金を持つ大口の市場参加者が、何らかの都合で、マーケットから退場する場合には、「クラッシュ」が起こります。先ほど、当初10兆円規模のマーケットに、1兆円の大口の投資家が参入する例を挙げました。この大口の投資家が1兆円を投下し終え、小口の投資家も無数に増加して、市場規模が12兆円に拡大している、としましょう。このときに、1兆円の大口の投資家が、何らかの都合で、資金が必要になったとします。この大口の投資家は、マーケットの都合に配慮するようなことはありません。すぐさまに、1兆円の投下資本を回収します。つまり、すぐに1兆円を売ります。いくら市場規模が拡大していても、巨額の売りが一度に出てくれば、マーケットは「クラッシュ」します。マーケットでそういったクラッシュが起きても、再び、この大口の投資家がマーケットに戻ってくれば、あるいは、大口の投資家に匹敵するほどの、別の大口の新規参入者がいれば、このクラッシュは急激に回復します。急落の度合いが壊滅的ではないクラッシュを「ミニ・クラッシュ」と呼ぶことにします。「ミニ・クラッシュ」が起きた場合には、大口の新規参入者がいなくても、小口の市場参加者が増加していれば、徐々に回復します。しかし、その場合は、通常、回復に時間がかかります。マーケットの規模は、「それぞれの金額×参加者数」であることを考えれば、それは自明のことです。「ミニ・クラッシュ」よりも重度の、壊滅的な「大クラッシュ」は、何らかの都合で、大口の市場参加者が一人抜けたことによって価格が下落を始め、その価格下落が引鉄となって、他の大口の市場参加者が撤退する場合に起こります。この場合は、大口の参加者が一人抜け、二人抜けする間に、マーケットが下落して歯止めがかからない状態、つまり、“フリーフォール状態”になります。下落は“売り”を呼び、その“売り”は、さらなる下落に拍車をかけますから、まさに「売りが売りを呼ぶ状態」になります。クラッシュが起きた場合、それが「ミニ・クラッシュ」になるのか、「大クラッシュ」になるのかは、それが起きた時点ではわかりません。それは、市場に参加している多くの人々の行動によって変化するので、事前にはわからないのです。誰にもわからないのですから、クラッシュが起きた場合には、謙虚に対応することが大切です。つまり、「これは、本格的なクラッシュかもしれない」と畏れる気持ちを持つことです。言い換えれば、予断を持たずに、本格的なクラッシュが起きた場合とまったく同じように対処することです。クラッシュが起きたときには、そのクラッシュの大きさが、事前には誰にもわからないことを謙虚に受け止めて、安易にその大きさをイメージせずに、愚直に、本格的なクラッシュが起こっていると想定して対応するべきなのです。「どうせ、このクラッシュは、ミニ・クラッシュだから、ちょっと時間がたてば回復するよ」と手前勝手に判断するのは、非常に危険です。多くの人が油断したときに限って、マーケットでは、とんでもないことが起こっています。このことは、いつもそうなのです。過去もそうであったし、きっと、これからもそうなのでしょう。マーケットでは、ミニ・クラッシュはたびたび発生します。マーケットが拡大するときには、必ず自律的調整が起こります。ミニ・クラッシュは、この自律的調整の一環なので、必ず起こりますし、大クラッシュが起こらない限りは、何度でも起こります。マーケットに参加する人々が増加していても、さまざまな都合で、マーケットから去る人は、必ずいます。利益を受け取りたいと考えて、利食いの売りを行うことも、その人の自由です。つまり、マーケットが拡大基調・上昇基調にあっても、時として、調整下落が起こるのは避けられないことなのです。