無敵と思われた、このスーパーモデル達も数年後にはブームにかげりが見えはじめました。時代の嗅覚に敏感なカール・ラガーフェルドはいち早くウェイフ(浮浪児)・モデルと呼ばれた一群のモデル達をステージに登場させました。自動車修理工あがりのジェニー清水、スキンヘッドに龍の入れ墨のイヴーサルバイユ、離れた目と拒食症気味のケイト・モスといった具合に、およそスーパーモデルの基準からはほど遠い子達が観客を驚かせました。もちろんケイト・モスは今でも現役で活躍していますが、これはひとえに彼女の表現力と独特の空気感が表現者として並外れているからで、正直最初に見たときはショックでした。このウェイフ・モデルの登場はモード自体が大きく変化することを作品以上に示唆していました。いわゆるリアルクローズという等身大モードの時代なんだと。その後もイギリス貴族出身というふれ込みでステラ・テナントやジョディ・キッドが出てきたり、ロリータビューティという文脈でトリッシュ・ゴフやオードリー・マルネイが注目されたりはしましたが、いかんせんモードそのものを変容させるには至りませんでした。最近ディカプリオと噂のジゼルにしたって、彼女の孤軍奮闘では時代は動かせないです。今となっては90年代モードの徒花のように語られてしまうスーパーモデルという現象ですが、あの時代のなかでも特に92〜93年頃っていうのは美女密度が本当に濃厚な時期であったと思います。あんな時代はもう二度と来ないのかもしれません。