マンションの価格を下げる

2011-08-25

扉の素材をマガイ物でよしと割り切れば、工事費をそれだけで1000万円、二〇〇〇万円浮かせることができる。建築工事のコストを削減して企業としての利益を一円でも稼ぎたいという不動産会社にとっては、このカネはとんでもなく大きな収入に見えてしまうのだろう。しかしここにきて急激に塩ビシート扉が使われるようになった最大の理由は、天然の木と塩ビシートとのちがいを見分けられる購入者が少なくなったからである。たしかに最近の塩ビシートはよくできている。印刷だからもちろん木目にムラはない。微妙な凹凸まで表現されているから、いかにも本物らしく見える。しかしだからといって天然の木と同じではない。材料の質感にうとい人であっても、天然の木の突き板を貼った扉と、塩ビシートの扉を二枚並べて見比べればそのちがいを実感できるだろう。天然の木がもつ深味をもった照り、という素材としての質感は、印刷では表現できないのだ。だが残念ながら、そのちがいを見分けられる購入者が少なくなっている。マガイ物だけを見せられ、それをマガイ物と判断できる購入者が少なくなったことに、マガイ物が急速にはびこりだした最大の理由がある。不動産会社とすれば、マンションの価格を下げるために内装材にも安物を使ってみました、ということなのだろうが、安っぽいということさえ気づかない購入者が多いのだ。実際、大手の不動産会社で、一億円台、二億円台のマンションでも平気で塩ビシートの扉を使っている会社もあるというのが現状だから、購入者もずいぶんと舐められたものである。