「そういう食事というのはどういう食事なの?」「生の占める割合が低すぎる食事がそれだね。あとはカロリーばかりがあって栄養素をたいしてふくんでいない食事。まだあると思うけど、この二つがメインと思っていい」「私かアメリカで食べていた食事はその二つともに当てはまるね」「この問題はカロリーをカットするというような単純な引き算ではないので、理解しにくいと思うけれども、体が食欲をコントロールしている複雑なシステムを想像してみれば、当然、単純ではないだろうということだけはわかるよね」「うん。単純ではないだろうね。そのシステムが正常に機能しているうちは当たり前でなんとも思わないけれども、一度おかしくなると、なかなか元には戻らないというか、直すのが大変というか」「肥満はまさにそのようなものとして理解することが大事なんだよ。その単純ではないというところからスタートしないと絶対に肥満は解決しないだろうね」「うーん」「それに、これは人間を使って証明することはできない。内分泌系にストレスを与える食事をしてもらって肥満を証明することはかんたんにできると思うけれども、そのためにこわれてしまったシステムを元に戻すのは容易ではないからね。人道的に許される実験ではないわけだ」「しかし、動物実験では証明されているんでしょう?」「うん。間接的、直接的に証明したいくつかの実験があるけれども、決定的なものの一つに、シカゴ大学で行われたかなり残酷なものがある」「残酷?」