話は二ヵ月前、二〇〇五年の九月に遡る。秋晴れの気持ちのいい空が広がっていた。僕はオフィスの手前にある公園のなかにつづく小道を歩いていた。紅葉にはまだ早かったが、木々の緑はその濃さを失いはじめていた。小さな児童公園にさしかかった頃、ポケットのなかの携帯電話がなった。電話をとると、共同通信社に勤める知人からだった。「いま、正月用の企画を進めてましてね。テーマは夢なんです」「はあ」「アジアハイウェーというのをご存じですか。
[参考サイト]
湯快リゾート 白浜御苑 - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad341648/
東京ディズニーリゾート®-じゃらんnet
http://www.jalan.net/theme/park/tdr.html
飛騨・高山周辺の宿泊施設・宿 - じゃらんnet
http://www.jalan.net/220000/LRG_220200/
元々は国連の事業なんですが、昨年、四月に日本も加わってアジア二十三力国が調印して、アジアの道を整備する事業が進みはじめてるんです。資料を見ると全部で五十五路線あって、総延長は十四万キロに及ぶそうです。でもメインは一号線。東の起点は東京で終点は……トルコのイスタンブールの先」「いや、そのすべてを走破してほしいなんていってるんじゃないんです。日程的にも大変ですしね。でも、まあ半分ぐらいは」。察しはついていた。今までも僕に降りかかってくるのは、ドライバーつきの専用車が用意され、その後部座席にのけぞるように座って、車窓を彩る風景を点描していくような仕事ではなかった。知らない国のバスターミナルに辿り着き、目的地の地名だけを頼りに、日陰で鼻くそをほじくる男や平気で嘘を口にする髭面の男たちに訊き歩き、あっちのバスだ、いや明日になればバスがある……などと翻弄され、ようやくみつけだしたバスの前でほっとひと息つくような旅だった。